「SIREN」って知っていますか?
ギリシャ神話に出てくる、人を惑わせる歌声を持った存在。
少し妖しくて、でもとても魅力的なキャラクターです。

この作品に「SIREN」と名付けたのは、写真家の ND CHOW。
きっと彼は、私のことをサイレン(SIREN)のように思っていたのかもしれません。そう考えると少し可笑しくて、でもどこか納得もしてしまいます。

撮影は3年前、2022年10月の沖縄。
たった5日間の短い旅でした。

私は高校生のころからグラビアを続けてきましたが、日本のグラビアはどうしても「男性が理想とする女性像」ばかりを描いているように感じていました。
だからこそ、もっと女性の気持ちや、強さや弱さを映し出したいと考えていたのです。

ND CHOWと初めて会ったのは原宿のカフェ。
私はその思いを率直に伝えました。すると彼は「撮ってみたい」と答えてくれて、それが「SIREN」の始まりとなりました。

沖縄での撮影は、特別な準備もなく、衣装もすべて私物。
海に入ったり、ホテルの部屋で休んだり、お風呂に浸かったり。

まるで学生時代の合宿のようで、笑い合ったりふざけ合ったり、時にはぶつかり合ったりもしながら過ごしました。

メイクのよしさんも一緒で、少年のような心を持った3人の小さな旅だったように思います。

よく「撮られているとき、何を考えているの?」と聞かれるけれど、私はいつもカメラマンが何を見て、何を撮ろうとしているのかを意識しています。

ND CHOWはカメラを構えた瞬間、普段の少年のような彼から一変して、私の奥にある何かを真剣に探ろうとしてくる。

私はただそれに応えるだけ。飾らずに、抗わずに。

撮影が終わったあと、私はすべてを彼に任せました。
どんな仕上がりになるのかも知らないまま。
でも、彼を信じていたからこそ、そうすることができたのです。

こうして完成した「SIREN」は、写真集というより“作品集”。
私とND CHOWが共に作り上げた答えであり、私にとっても大切な表現のひとつになりました。

“SIREN — She lures with silence, not song.”
(サイレン——彼女は歌ではなく、沈黙で惹きつける)

そして、これは私の物語。
いつかND CHOWの「SIREN」にまつわる物語も聞いてみたいと思う。